属人化を防ぎ、企業の生産性を高める取り組みが「ナレッジマネジメント」です。テレワークへ移行する企業が増えたことで、企業内の知識と知恵の共有がより求められるようになりました。
ナレッジマネジメントの文化浸透は簡単ではありません。ナレッジマネジメントの失敗事例を知ることで、事前準備を怠ることなく推進できるでしょう。ナレッジマネジメントの失敗事例を5つにまとめましたので、自社で同じことが起こらないように注意していただけたら嬉しいです。
- 失敗事例1:ナレッジマネジメントの目的が曖昧
- 失敗事例2:社員にナレッジマネジメントが伝わらない
- 失敗事例3:業務が見える化されていない
- 失敗事例4:ナレッジマネジメントのツールが使いにくい
- 失敗事例5:継続的に利用されずに陳腐化する
- まとめ:ナレッジマネジメントの失敗例
失敗事例1:ナレッジマネジメントの目的が曖昧
「ナレッジマネジメントは大切だ!すぐにプロジェクトを作りシステムを導入しよう!」
ナレッジマネジメントを無計画にスタートさせると失敗します。特に、経営者の一声でプロジェクトが開始する時は注意が必要です。
プロジェクトを開始する時には、
- 会社から暗黙知を無くす
- 属人化している業務を洗い出す
- 各部門の生産性を10%アップさせる
目的を考える際には、まず課題を明確化させます。自社でナレッジマネジメントを取り組まなければいけないと感じたのは、何がきっかけなのか?課題がブレてしまうと目的もブレてしまう傾向にあります。
私の経験では、目的が曖昧になる失敗事例は「経営者」に責任があることが多いです。そして、経営者と話してみると自覚があまりないことが多いです。「強い社長に逆らえない」という社風がある会社でよく見かける失敗事例ですね。
失敗事例2:社員にナレッジマネジメントが伝わらない
社員にナレッジマネジメントの取り組みが正しく伝わっていなければ、プロジェクトは失敗します。やってみた感だけ残って、目標が達成できないことがほとんどです。
ナレッジマネジメントの目的が定まったら、各部門の責任者に展開することに力を入れましょう。部門責任者が納得していなければ、一般社員には絶対伝わりません。
ナレッジマネジメントのプロジェクトリーダーは、必ず管理者やリーダーを押さえておくようにします。
失敗事例3:業務が見える化されていない
ナレッジマネジメントのシステムやツールを導入すれば、全ての業務が形式知に変わると思ったら大間違いです。ナレッジを貯め込んでいるのは「人」であることを忘れてはいけません。
例えば、「ツールに今の業務内容を登録してください」と案内をしても全ての業務が洗い出されるとは限りません。特に、誰にも渡したくない業務を持っていて仕事を奪われたくないと思っている人は、システムに正直に登録しない傾向にあります。
システムやツールを利用する場合には、正しく可視化されているのかを第三者が確認できるようにしておく必要があります。いつも思うのですが、業務改善においてIT化は一番最後です。システムやツールが無くても、業務の可視化は進めることができることを忘れないようにしましょう。
失敗事例4:ナレッジマネジメントのツールが使いにくい
ツールを展開して現場に使ってもらおうとしても、操作性が悪ければ使ってくれません。正しくツールが使えなければ、間違った情報が蓄積されてしまい、ナレッジマネジメントの目標は達成できなくなります。
システムやツールを導入する際は、
失敗事例5:継続的に利用されずに陳腐化する
システムやツールは、使い続けてこそ効果があるもの。特にナレッジマネジメントにおいては、常にナレッジが蓄積され、誰でも最新の情報を取り出せるようにしておかなければなりません。
ビジネスの現場で以下のような経験がありませんでしょうか?
- システム改定をしても仕様書が最新ではない
- ルールが変わっても社内のマニュアルが更新されない
- 大規模なシステムを導入したが使っていない機能がある
継続的にナレッジマネジメントのツールを使うためには、使いやすさと共に「シンプル」である方が良いでしょう。更新に手間と時間がかかるようなツールは適切とはいえません。また管理者がモニタリングできるようになっていることも重要なポイントです。
ツールを利用する上で、最初に決めたナレッジマネジメントの目的をブラさないことが大切です。ツールの中身にこだわることに集中して目的を見失わないように。
まとめ:ナレッジマネジメントの失敗例
「うちの会社も同じことが起きそう・・・」という失敗事例が中にはあったかもしれません。私がコンサルティングしてきた中で、全て目の当たりにしたことがあるナレッジマネジメントの失敗事例です。
「ナレッジマネジメントの目的は何ですか?」と経営者に問いかけた結果、明確な答えが出ず、ナレッジマネジメントのツール化が延期されたケースがありました。
自分の会社に合ったやり方を実施すべきであり、また目的を決めたら責任者を任命して、会社全体で協力した取り組みが重要になります。