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ナレッジマネジメントとは?導入方法とメリットを解説!

人材の流動が激しくなっているは、ナレッジマネジメントができているかどうかで経営の安定度が変わります。ナレッジマネジメントとはどのような手法で、どのようなメリットがあるのか。ナレッジマネジメントの事例を交えながら解説します。

 

 

ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントとは、企業で働く個人が持っている情報を1つの場所に集めて可視化し、誰もが取り出せる状態を創出するマネジメント手法です。ナレッジマネジメントはチーム単位ではなく、会社全体で取り組むべき概念であるため、経営戦略や経営手法だと認識できます。会社にある1つのチームだけでナレッジマネジメントができても効果は薄いというわけです。

よく考えてみたら当たり前のことで、チームでナレッジマネジメントをしても他のチームの情報を知る方法が無ければ、会社組織として強くはなれません。私がコンサルティングで見てきた中で、ナレッジマネジメントの範囲を狭く考えている会社がたくさんありました。

更に、ナレッジマネジメントは情報を集めることだけが目的ではありません。集めた情報が整理されており、誰もが取り出せるようにしておく必要があります。共有ファイルサーバにマニュアルを置けば終わり、ではないのです。また、ナレッジマネジメントを推進する中で、捨てる情報も存在することを忘れてはいけません。

SECIモデルと暗黙知、形式知について

暗黙知とは、個人に蓄積されている知識のことで、形式知とは社内で共有化された知識のことです。ナレッジマネジメントでは、暗黙知を形式知に切り替えていくことが大切です。

暗黙知を形式知に切り替えるプロセスを体系化したものがSECIモデルです。「S:Socialization(共同化)」「E:Externalization(表出化)」「C:Combination(連結化)」「I:Internalization(内面化)」の頭文字を取ってSECIモデルです。

属人化されている暗黙知を社員間で共感しあい、表や言葉、図表によって見える化(表出化)します。他の形式知と結合して体系化した後、形式知を実際に体験することで暗黙知として体系化します。

ナレッジマネジメントの対象は?

ナレッジマネジメントの対象

何をナレッジマネジメントするのか、イメージが湧きにくいかもしれません。個人が持っている情報は、お客様の情報やライバル会社の商品情報など、売上に直結するものだけではありません。

ナレッジマネジメントで特に重要なのは経験から生まれた業務プロセスです。

ある個人でしか実施できないプロセスは、会社では「属人化」と呼ばれることがあります。属人化は、ナレッジマネジメントができていないことと同意です。個人が経験から学んだプロセスには、過去の失敗や苦労が詰め込まれています。ナレッジマネジメントが機能すれば、他の社員は経験をショートカットしてそのプロセスを知ることができるわけです。

そして『属人化の課題』がナレッジマネジメントを阻害する要因の1つになります。過去に失敗を繰り返し、苦労して生み出したプロセスを人に教えたくないと考える社員は少なからず存在します。辞める時には引継ぎをしてくれても、自分の仕事として持っている間は、他の社員に教えたくないと考えてしまうのです。

ナレッジマネジメントでは、社員の理解を得た上で、気持ちよくプロセスを共有できる環境づくりが重要になります。

 

 

ナレッジマネジメントのメリット

ナレッジマネジメントが会社で機能するとどのような効果があるのでしょうか。ナレッジマネジメント導入におけるメリットをまとめます。

①柔軟な体制を構築できる

ナレッジマネジメントを導入すれば、誰でも同じ業務ができるようになります。「あの人しかできない業務だから、この現場から外すことはできない」と考える必要がなくなります。そのため、属人化された業務を意識することなく、ベストなチームを作ることができるのです。

ナレッジマネジメントが導入されていると、異動した時にスタートダッシュしやすくなります。まずは業務を覚えるのに3か月、といった無駄な時間を過ごす必要がありません。異動後すぐに個性を活かして、シナジー効果を生み出すことができるでしょう。

②社員の成長スピードが早くなる

柔軟な体制が構築できるので、社員の成長スピードは早くなります。特に若い社員は、いろんな現場やチーム、様々なリーダーと仕事ができます。ナレッジマネジメントが機能していれば、ローテーションによって業務が滞らないのでスキルアップに意識を向けやすくなります。

付帯効果として若手社員の発信力が強化されるメリットがあります。ナレッジマネジメントが浸透すれば、アウトプットすることの恐怖心が薄れるからかもしれません。共有することが正しいこと、という風潮が社内生まれると、より効果を発揮しやすくなります。

③業務が効率化される

ナレッジマネジメント導入の過程で、社内に散らばっている業務が見える化されます。業務フローを作ったことがないプロジェクトにおいては、第三者の視点によって無駄な業務が洗い出されます。

業務フローが共有されると、各自でバラバラに行っていた業務を統一して効率化することができます。また、業務を集約することも可能でしょう。

例えば、得意先向けの請求書発行業務を各部門で実施していたとします。ある部門ではシステムから出力される請求書を封筒に入れてお客様に送付している。またある部門ではエクセルで作った請求書をPDF化してお客様にメール送付している。
請求書発行業務を総務に集約し、全てPDF化する運用にすれば業務はかなり効率化されます。これまでも「統一化できるかな?」うっすら思っていたことが見える化されることで大きな課題として浮かび上がってくるのです。

④企業の組織力と競争力が高まる

お客様の情報に誰もがスムーズにアクセスできると、お客様への対応やフォローは確実によくなります。SFAのような仕組みを先行して導入してもいいですが、ナレッジマネジメントの概念が浸透していなければシステムの効果は半減してしまいます。

トラブルが起こった時には、他社での事例を参考にできますし、初めて訪問するお客様には過去の営業ノウハウが活用できます。社内において「知っている人を知っている」コミュニケーションが取れれば、組織力が向上します。

ナレッジマネジメントを導入することで他社には無い組織力を発揮でき、競争力が高まります。

ナレッジマネジメントを導入する方法

ナレッジマネジメントを導入する方法

ナレッジマネジメントを導入するためにはどのような準備や運用を進めていけばいいのでしょうか。重要なポイントについて解説します。

ナレッジマネジメントの目的を明確にする

ナレッジマネジメントの導入で一番最初にすべきことがナレッジマネジメントの目的を明確にすることです。目的がブレていると、社内の協力を得ることはできませんし、途中で何に向かっているのか分からなくなってしまいます。

目的を考える際には、ナレッジマネジメントが機能すれば会社がどう変わるのか?を考えると浸透しやすいでしょう。他社と同じやり方が成功するとは限らず、自社らしい目的を設定します。

プロジェクト化する

ナレッジマネジメントでは、部門間を横断して調整する人が必要です。ナレッジマネジメントの導入をプロジェクト化し、プロジェクトリーダーを任命しましょう。

プロジェクト化すれば、先に決めた目的から外れることもありませんし、横連携の橋渡し役になるので導入後も運用がスムーズに維持できます。ナレッジマネジメントのプロジェクトリーダーは、以下のような人が適任だと思います。

  • 会社内に顔が広い人
  • 人の意見を聞くのが上手い人
  • マネジメント経験が豊富な人

プロジェクトリーダーを任命したからといって投げっぱなしにしてはいけません。経営層は状況をよく観察しつつ、困ったときにはサポートできる体制がベストです。

ナレッジの範囲を決める

会社の特徴にもよりますが、最初はナレッジの範囲を決めておく方がスムーズに進みます。あれもこれもと手を出すと、膨大な時間が経過したり、途中で自然消滅したりします。また、ナレッジマネジメントのプロジェクトが高いモチベーションを維持できなくなります。

営業関係なら営業部門、請求業務なら関連する業務、といったようにスコープを狭くしておくのです。1つの業務で上手くナレッジできれば、範囲を広げていけば問題ありません。ナレッジマネジメントの導入を進める中で、難易度が高いと判断したら後回しにしてもいいでしょう。

見える化された業務の改善案を出す

ナレッジの範囲が決まれば、業務を見える化していく作業になります。ナレッジマネジメントの導入をプロジェクト化したことで、見える化してアウトプットしたデータが同じフォーマットで表現できるメリットもあります。部門によってバラバラにアウトプットされると整理できなくなてしまいますから。

見える化された業務において、改善点をまとめます。この際、現場の担当者に納得してもらうために、説得力のある改善案である必要があります。必ず対抗勢力が出てきます。理論的にまとめた改善案で、関係者の理解を得られるようにしましょう。

ナレッジマネジメントを維持する

ナレッジマネジメントで一番難しいのが、維持継続をすることです。

ナレッジ共有したものは、放っておくとすぐに形を変えてしまいます。変化することは正しいことですが、守るべきルールが逸脱されるのは良くありません。ナレッジマネジメントが正しく機能しているのか定期的なチェックをするようにします。

理想は、ナレッジマネジメント導入時のプロジェクトを継続することです。月の10%程度はナレッジマネジメントの維持に力を割いてもらうようにすると維持しやすいでしょう。

昔のコンサルタントは、導入までして去っていきました。それっぽいデータを並べて納得させた後、維持については知らぬ存ぜぬだったのです。外部のコンサルティング企業を利用するのもいいですが、必ず長いお付き合いができる会社を選びましょう。コンサルティングに依頼すると費用は膨れ上がります。
ベストな方法は、自社の社員でナレッジマネジメントの文化を作り上げることだと私は思います。

 

 

まとめ:ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントは、社内に散らばっている業務を集めて共有化し、業務を効率化させる経営・マネジメント手法です。日本は人材の流動化が遅れていると言われていますが、これからは流動化と多様化は猛スピードで進んでいきます。

企業が社会で生き残るためにも、また更なる発展をするためにも、ナレッジマネジメントはとても重要な手法として認知されていくと思います。