オセッカイこそ人間が生きていることの保証である
梅崎春生「ボロ家の春秋」より
人に対してオセッカイをすることは、一見でしゃばっているように感じるかもしれないけれど、人と人とを結びつけている、という言葉です。
※「結果を出すために知っておきたい!世界の名言 481」から引用しています。
オセッカイとは?
オセッカイとは、原文そのままにしていますのでカタカナで書いていますが、お節介のことです。
いらぬことに口出ししたり、余計な世話をしたりすること、またその人をいう。「お」は接頭語。「ちょっかい」と同語源かとされる。ネコが前足で物をかき寄せるしぐさ「ちょっかい」が、杓子(しゃくし)でかき寄せる形に似ており、これが諺(ことわざ)「猫も杓子も」の語源と考えれば、飯(めし)杓子の頭を縦に半切りにした形状の切匙(せっかい)も杓子に見立てられ、切匙に節介の字をあてて「ちょっかい」と同義と考えられる。なお、お節介と同義の江戸語「おせせ」は女性用語。
引用:コトバンク
部下を見ていなければオセッカイできない
ちょこちょこと口を出してくる上司にウザいと感じる人は多いでしょう。上司が良かれと思ってやっていることが、部下のモチベーションを落とし、成長を止めている場合があります。しかし、まったく上司が部下に興味を持たないのは育成放棄だと思います。
上司のちょっとしたオセッカイは、とても大切です。
これは上司・部下の関係に限らないと思います。私はこれまでにちょっとしたオセッカイでトラブルを未然に防ぐことができたケースをたくさん見てきました。
オセッカイで防ぐことができたトラブル
総務で働いているAさんは得意先に請求書を送る業務をしていました。月末ギリギリに請求書を発行しているので月の最終日にポストに入れないと得意先の締め切りに間に合わず、支払いが1か月遅れてしまうものでした。
ポストに入れるわけですから、月の最終日にAさんは席を外すことになります。「請求書を入れてきます!」と一声かけて毎月出かけていました。
しかしある月、Aさんはポストに請求書を入れることを忘れます。再発防止策を考えている時、総務にいる3人にヒアリングをすると「今月はAさんが出かけないなって思ってたんです」と声を揃えて言うのです。前日に入れたのかな?お昼休みに持って行ったのかな?などの推測はもちろんできるのですが、それでも「今月は請求書出さなくていいの?」と一声かければ防ぐことができた事象です。ちょっとしたオセッカイがいかに大切か分かる事例です。
DXの推進を求められる社会になっていますが、だからこそ人と人とのつながりはとても大切。オセッカイのコミュニケーションを忘れないようにしたいと思います。
部下は見られていると生産性が向上する
上司の頻繁なオセッカイは逆効果ですが、ある程度は部下の行動やプロセスを見てあげなければ生産性は向上しません。人に見られることで生産性が向上する考え方としてホーソン効果が有名ですね。
上司のオセッカイがどれくらいのレベルがいいのかは分かりません。部下の性格や上司のマネジメント方針によっても違うからです。しかし、オセッカイは「人間が生きていることの保証」なのです。
時には、上司と部下という関係を忘れて、相手のことを想ったオセッカイをしてみてはいかがでしょうか。