上司の部下に対するボヤキが日々聞こえてきます。
- 部下が成長しなくて困っています・・・
- 部下の育て方が分からなくなってきました
- なんでこんな簡単な仕事ができないのだろうか
部下が成長しないことを部下の責任にしているビジネスマンをよく見かけますが、部下が育たないのは上司の責任だということを忘れてはいけません。
上司の責任だと認識することがまずは大前提です。
もちろん100%上司が悪いとは言えない現状もあります。
しかし、自分の教育方法に対して疑うことをしなくなったら、そこで部下の成長だけでなく上司としてのマネジメント成長もストップしてしまいます。
当記事では、部下育成に悩んでいる方に「部下を信じること」がいかに大切かをお伝えしていきます。
あなたは部下を信じていますか?
以下のような会話をビジネスの現場で耳にしたことがあります。
上司「今度の提案書、俺が作るからグラフだけ作ってくれる?」
部下「わかりました、グラフのデータをいただけますか?」
上司「おっけー、送っとく。グラフは明後日までに返信して」
グラフを作ることしかしていない、更にデータを自分で取得することもしていない。このような仕事のやり方でビジネスマンとして成長するわけがありません。
おそらくこの部下は上司の指示を受けて、『何のための提案書なのか』くらいは把握しているでしょう。しかし重要なことを理解できていません。
- どこにこの提案書のポイントがあるのか
- 提案の狙いな何なのか
このような指示の出し方を続けてきた上司が「うちの部下は提案書作れないからなあ」とボヤいているのです。上司と部下とのコミュニケーションが悪いわけではありません。上司からの指示の出し方も的確なのかもしれません。
問題点は、上司が部下を信じていない点です。
難しい資料を部下に作ってもらったとしても、また自分が直さなければいけない、それならグラフだけ作ってもらうくらいにした方が仕事が早く進む、と思っているわけです。このような指示の出し方をする上司は部下の成長のことが頭にありません。
『チームにおける生産性を高めるため』という理由で、難易度が高い資料は全て上司が作りこむことがありますが、ここで言う生産性は「一時的なもの」にしかなりません。将来的な部下の成長を考えたら、部下が自分でお客様のニーズをくみ取り、一人前の提案書を作れるようになった方がよいですし、チームの生産性も良くなるのです。
部下の成長は、部下を信じるところから
部下の成長を考えて教育をするためには、まず部下を信じるところから始めてください。
①一緒に打合せに参加させる
お客様との商談の場面や社内での企画会議など、打合せのシーンは週に何度もあります。打ち合わせをいくつかピックアップして、部下を同席させるようにしてみてください。打合せの結果だけを事後で聞いて、上司の指示に対応していた部下は、打ち合わせに参加することで生の声を基に仕事に取り組むことができるようになります。
また、打合せ後に上司と部下で会話する場面を作るようにしましょう。
- 「あの人のあのセリフがポイントだったんだよな」
- 「あのお客さん、本当は○○って思ってるんだよ」
上司と部下のコミュニケーションを取ることで、部下は仕事の内容が立体的に捉えられるようになっていきます。日々マネジメントを真剣に考えている上司は、部下の視点が立体的になったことに気付くはずです。
これまで平面的な仕事が立体的になると、部下は仕事の背景を見ることができるようになり成長につながっていきます。またお客様の顔が分かることで仕事に対するモチベーションが上がります。部下を信じているからこそ可能となるコミュニケーションです。
②仕事の目的を何度も確認する
部下を信じるとはいえ、部下が間違った方向に進まないようにチェックするのは上司の役目です。今取り掛かっているプロジェクトの本当の目的な何なのか?を時折確認するようにしていきましょう。特に重要なのは、部下が目指すべきゴールの位置です。
ある商品をお客様に提案するための企画書を作成していたとします。部下に対して「その企画書は何のために作っていると思う?」と聞いてみるのです。「お客様に商品を買ってもらうためです」という答えでは30点ですね。
企画書をお客様が気に入ってくれて商品を買い、お客様に利益をもたらすことが真の目的です。ゴールを見失わないように上司が導いてあげることで、部下はぐんぐん成長していきます。そして、上司のあなたも部下の仕事を信じることができるようになっていきます。
ビジョンの共有方法については、こちらの記事を参考にしてみてください。
③失敗を責めない
部下との信頼関係を構築するためには、チャレンジを認めてあげて失敗を責めないようにすることが大切です。失敗に対して厳しい叱責を受けると、部下は縮こまってしまいチャレンジすることを諦めます。すると、上司の指示でしか動くことしかできなくなり、上司のあなたも部下の成長を信じることができなくなってしまいます。
失敗してもいいよ、最後は俺が謝れば済む話だから、くらいの覚悟をもって部下を教育していきましょう。
あなたがハートに語りかけて育てようと努力すれば、部下は必ず期待に応えてくれます。時間はかかるかもしれませんし、ありえない失敗で裏切られることはあるかもしれませんが、目いっぱい信じて仕事にチャレンジさせていきましょう。
部下を信じることと、丸投げは違う
「私は部下を信じていますよ、だから仕事も任せています」と言いつつ、実際は仕事を丸投げしている人がいます。これは信じているとは言い切れません。
社内でも社外でも最終的なアウトプットの責任は上司であるあなたにあるのです。部下の成長と同じように、会社の成長もとても重要です。
部下に仕事を任せたとしても、定期的なチェックはしていかなければなりませんし、先ほども話したように道を見失っていたら軌道修正してあげるのは上司の責務です。部下を信じることと、仕事をただ丸投げすることは全然違うということを、頭の中に入れておきましょう。
部下を信じて教育していきましょう
部下を信じること、案外できていないなと思った人もいるのではないでしょうか。
信じ続けた結果、裏切られることも0ではありません。過去に経験してきた人もいるかもしれません。それでも、部下の成長は部下を信じるところから始まるのです。そして部下が成長してくれた時、初めて上司としての役割を果たせたといえるのです。