ヒューマンスキルは、業種に関係なく全てのビジネスパーソンにとって重要なスキルです。ヒューマンスキルが高い人は、周りにいるお客様や同僚、上司や部下との良好な関係を築くことができます。
周りにいる同僚やお客様と良好なコミュニケーションが取れる人は、ヒューマンスキルが高い人として会社でも高く評価されます。
当記事では、ヒューマンスキルの意味から解説し、関連するコンセプチュアルスキルやコミュニケーション能力との関係性、さらにヒューマンスキルの鍛え方について解説します。
ヒューマンスキルとは?
ヒューマンスキルはマネージャーに求められる重要なスキルとなっていますが、もちろん経営者や新入社員にとっても大切なスキルです。人間関係が良好であれば仕事は進めやすくなりますし、対外・対内の交渉も円滑に進みます。
ヒューマンスキルは全てのビジネスパーソンにとって重要だけれども、特にミドルマネジメント層(マネージャークラス)に求められているのだ、と認識してください。
ロバート・カッツが提唱したマネジメント層に必要なビジネススキルにはヒューマンスキルを含めて3つあります。
- テクニカルスキル
- ヒューマンスキル
- コンセプチュアルスキル
カッツモデルでは、経営者クラスに進むにつれてコンセプチュアルスキルが重要度を増します。コンセプチュアルスキルの詳細は、以下を参照してください。
ヒューマンスキルの7つの要素
ヒューマンスキルは7つの要素に分解することができます。
- コミュニケーション能力
- ネゴシエーション能力(交渉力)
- 提案力
- ヒアリング能力
- リーダーシップ
- コーチング
- ファシリテーション能力
ヒューマンスキルの構成を見ると、誰もが一度は高めたいと思ったことがある、または今まさに伸ばしたい能力ではないでしょうか。ヒューマンスキルに必要な能力を1つずつ簡単に解説します。
コミュニケーション能力
周囲との関係性を良くする能力です。ヒューマンスキルの概念として一番頭に思い浮かびやすい能力だと思います。コミュニケーション能力は大切というよりも、周囲とコミュニケーションが取れない人はそもそも仕事ができません。
ネゴシエーション能力(交渉力)
お客様だけでなく、社内でも利用する交渉力です。自分がやりたい仕事を貫くためには、交渉が上手くなければなりません。お客様から案件をいただく最初のステップが交渉です。
上司への根回しが上手な人は、出世が早くなりやすいです。一種のゴマスリを指している部分もあるでしょうが、自分を正しくアピールし、自分が得意としている仕事を自分で引き寄せているとも考えられます。社内で発揮させる交渉力は大切ですよ。
提案力
提案力は交渉力に近いですが、新しいアイデアを生み出す力も提案力と言えるでしょう。プロジェクトでは、営業が交渉力を発揮するならば、エンジニアは提案力を前面に出す、といった組織的にバランスがとれると良いチームになります。
ヒアリング能力
ヒアリング能力がないと、相手の思いを汲み取れません。部下をマネジメントする立場の人は、部下が何を言っているのか正確に聞き取り、話の裏にあるニーズや悩みをキャッチアップしなければなりません。ヒアリング能力は、ヒューマンスキルを構成する本当に大事なスキルです。
リーダーシップ
マネジメントと比較されるリーダーシップです。背中でメンバーを引っ張る力と私は思っています。決断力と行動力があるリーダーを目指しましょう。ヒューマンスキルが高い人に部下はついてきます。
コーチング能力
部下の育成で重要になるスキルがコーチング能力です。コーチング能力は誰でも鍛えれば高めることができます。部下が成長すればマネージャーは楽になります。優秀なマネージャーは、コーチングがとてもうまいです。
ファシリテーション能力
ダラダラと長い会議が続くときは、進行者にファシリテーション能力が無いからです。シンプルに打ち合わせを進めることができれば、時間を効率的に利用することにもなります。二の次のような能力に思われがちですが、ヒューマンスキルではとても大切な能力です。
ヒューマンスキルがなぜ必要か?
仕事においてヒューマンスキルはなぜ必要なのでしょうか?高めるとどのようなメリットがあるのでしょうか?
人間関係を良好にする
私たちは一人では生きていけません。 一人で仕事を進めることもできませんし、お客様がいなければ仕事がありません。
ビジネスは、人間関係があってこそ成り立つものです。周りの人とコミュニケーションを取ることは当たり前のことであり、また理不尽な事実にもうまく立ち回らなければならないのです。
- 嫌いな上司がいる
- すぐに怒るお客さんがいる
- 言うことを聞かない部下がいる
- 別部署の同僚が動いてくれない
社会に出ると、人間関係でうまくいかないことが大半です。ヒューマンスキルを高めると、良好な人間関係を築くだけでなく納得いかないことでも割り切って対応ができるようになると私は思います。人間関係は本当に難しい、だから楽しく魅力的なのです。
強いメンタルを持てる
ヒューマンスキルを高めることによって得られるメリットは様々ですが、私が特に重要だと思うことがあります。
ヒューマンスキルがあれば強いメンタルを持てる
仕事の悩みはほとんどが他人との関係によって起こるわけですから、ヒューマンスキルを高めれば悩みが減少することは確実です。仕事ができるビジネスマンは、能力が15%、精神力が85%と言われています。自分の気持ちをセルフコントロールできるビジネスマンは、強いメンタルを持ち、難しい仕事にも立ち向かうことができるようになるのです。
上司に何を言われようが、部下が動いてくれなかろうが、メンタルが強ければつぶれることなくゴールまで突き進むことができます。真のリーダーは、最初は敬遠されるものです。しかし、強い意志で引っ張っていくリーダーにこそ人は付いてくるようになるのです。
ヒューマンスキルの鍛え方
ヒューマンスキルを鍛えるためには、日ごろから意識して行動することが大切です。このサイトでも散々伝えてきていますが、意識のある行動こそ最強だと私は思います。
ただしヒューマンスキルはあまりにも「身近すぎる」ために、高めることができているのか実感を得にくい部分があります。会社としてできることと、自分でできることに分けて、ヒューマンスキルの鍛え方をお伝えします。
会社でヒューマンスキルを鍛える
会社が主体となって社員のヒューマンスキルを鍛えるベストな方法は研修です。しかもグループ研修がいいでしょう。立場が違う人が参加するのではなく、同じレンジの人を集めて実施すると効果的です。
特にヒューマンスキルの場合は、「マネージャー候補」の集団や「マネージャーになって3年~5年以内の人」といったグループ分けが一般的です。頭が固くない35歳くらいまでの年齢で区切っても面白いですね。
ヒューマンスキルを高める研修内容は、ゲーミフィケーションを取り入れたものが多いです。メンバーと協力してプロセスを構築し、ゴールに導くものです。研修を楽しむだけでなく、後から振り返ることができるようになっているとベストです。近い立場のグループでまとめて、研修案を提案してみてください。
研修の選択に悩んだら、フォロー研修があるものを選びます。フォロー研修を入れて2回で1研修となっているプランです。ヒューマンスキルは実感が湧きにくいため、研修後、数か月後にフォロー研修で振り返ると効果的です。「確かに行動が変わった!」と実感できれば、ヒューマンスキルを意識して高めていくことができるでしょう。
自分でヒューマンスキルを高める
自分でヒューマンスキルを高めるために一番効果的なのは、リフレクションだと思います。
リフレクションは内省のことです。上記の記事に詳しく書いていますので、参照してみてください。
リフレクションは、世界中の優秀なリーダーたちが実践している成長メソッドです。自分の行動を振り返ることで、ビジネススキルだけでなくメンタルを鍛えることもできます。
特にヒューマンスキルを高めるリフレクションをする場合は以下を意識しましょう。
- コミュニケーションを振り返る
- お客様との交渉を振り返る
- 部下の育成を振り返る
リフレクションの中に他の誰かを登場させることによって、ヒューマンスキルは確実に鍛えられます。最初は、ダメなところばかりが目立つかもしれませんが、リフレクションは続けることが大切です。自分の強みも見えてきますし、メンタル強化にもつながります。
まとめ:ヒューマンスキルとは?
ヒューマンスキルは、マネージャークラスに特に重要なスキルであり、ロバートカッツが提唱した「カッツモデル」に含まれる1つです。ヒューマンスキルには7つの要素があり、どれもマネジメントに重要なパーツとなっています。ヒューマンスキルは会社なら研修、自分だけならリフレクションによって鍛えることができ、高めることでメンタルが強くなる効果も期待されます。
ヒューマンスキルが高まった際には、若手社員への教育として自ら発信できるようになればいいですよね。是非ともマネジメントや組織運営にも活かしてください。