業績が悪化するとコストを削減しなければと経営者は考えます。しかし、コスト削減の本当の意味を勘違いしている経営者が多くおり、組織の各リーダーたちにも間違った考え方が浸透していることがあります。
コスト削減と経費削減は全く意味が違います。
コスト削減とは何か?コスト削減を言い換えるとどうなるか?コスト削減の本質について解説します。
コスト削減を言い換えると?
コスト削減に近い言葉に経費削減があります。コスト削減と経費削減は、同じ意味のように感じますが、根本的には違う意味を持っています。
コスト削減とは?
企業におけるコスト削減とは、企業活動の中で営業利益を最大限にするために、経費や間接費の無駄を排除し、効率的に運営できるようにする活動のことです。営業利益には、以下のような式が成り立ちます。
営業利益=売上ーコスト
コスト削減は、単純に経費を削減することではなく、営業利益を最大限にするための活動であると考える方が健康的で前向きです。なぜなら、単純に経費を削減することによって、売上にも悪い影響がある場合があるからです。
例えば、コストの大きな部分として給与があります。私たちが会社からもらう給与は、企業にとって人件費という経費です。では、経費削減の一環として給与が下がったらあなたはどうなりますか?仕事のモチベーションが下がり、結果売上も落ちるでしょう。
つまり、コスト削減とは、現状のコストを見える化し、より効率的に利用するためにはどうすればいいのか?を検討することであり、経費を単純に削減することとコスト削減とは決してイコールではないのです。
営業利益が最大化するのであれば、無駄な経費を削減してそれ以上の経費をかけたとしても、立派なコスト削減になると思っています。ある部分ではコストを落とし、ある部分ではコストをかけていいのです。
コスト削減を言い換えると?
コスト削減を言い換えると、以下のような言葉になります。
- コストカット
- 無駄を省く
- 無駄を圧縮化する
- 無駄を排除する
- 能率化
- スリム化
コスト削減を言い換えてみると、単なる経費削減でないことがよく分かります。これらの言葉の中で、私が特に好きなキーワードが「スリム化」です。コスト削減と聞くと、ネガティブなイメージを持つ人もいますが、スリム化と言い換えるとポジティブなイメージになりませんか?
コスト削減は利益を最大化するためのポジティブな行為なのです。
コスト削減が目指すべき目的とは?
コスト削減が目指すべき目的とは、営業利益を最大限にすることです。社員がコスト削減に積極的に取り組むためには、コスト削減の目的を明確化しておかなければなりません。経営者やリーダーは、以下のような対策を取ると良いでしょう。
現状のコストを見える化する
現状のコストがどれくらいなのか、を詳細に公開します。なぜなら、コスト削減しなさい、といっても社員は何から手を付けていいのか分からないからです。
例えば、事務所の家賃や年間の交際費など、普段触れにくい数字が見える化されると社員も取り組むべき事象が明確化されます。
コストの見える化を嫌う人がいます。自分にメリットがあるコストが中に含まれているためです。現状コストの見える化は、複数人の目でチェックするようにしましょう。
コスト削減が報酬になる
コスト削減が自分たちへの報酬になることを示すと、社員は前向きに取り組むようになります。
何度も言いますが、コスト削減の目的は営業利益を最大化させることです。営業利益はボーナスとして社員に還元されるものであり、コスト削減=報酬だと理解できれば高いモチベーションでコスト削減に取り組むようになります。必ずしも金額で表せるものでなくてもいいですが、社員のメリットになることを示した方が良いです。
コスト削減のアイデアを募集する
コスト削減の好事例は、他部門でも活かすことができます。1つの部門だけで取り組むのは、かなりもったいないです。
コスト削減のアイデアを募集して、社内での表彰制度に反映させると、会社全体でコスト削減の意識が高まります。経営者やリーダーでは気づけなかったコスト削減のアイデアが生まれるようなマネジメントが重要です。
コスト削減の事例をお客様への提案として活用することができます。自社で成果が出たコスト削減事例は他社にとって有益な情報となるはずです。
まとめ:コスト削減と経費削減は違う!
コスト削減とは、企業の営業利益を最大にすることであり、単純な経費削減ではありません。コスト削減を言い換えると、スリム化や無駄を省くという意味になります。社員のコスト削減意識を高め、全社でポジティブに取り組むことが求められます。私も改めて、経費削減ではなく前向きなコスト削減に取り組んでいきたいと思います。